M-MIST法とは?
歯周組織を温存する
低侵襲術式。

— この記事の監修者
湯口 晃弘(ゆぐち あきひろ)/ 医療法人令徳会 理事長・ユアーズデンタルクリニック院長
日本歯周病学会認定医、EAO(European Association for Osseointegration)認定医、5-D Japan ペリオインプラントコース インストラクター。2026年5月、米国歯周病学会の公式誌 Clinical Advances in Periodontics に筆頭著者として症例報告を発表(DOI: 10.1002/cap.70076)。
プロフィール詳細を読む →湯口は『日本歯科評論』2021年8月号 特集「5-D Japan presents 動画とイラストでマスター いま知っておきたい話題のテクニック5選【天然歯編】」にて「M-MIST法による歯周組織再生療法」を執筆しました。本記事はその執筆経験をもとに、患者さんに分かりやすく解説します。
M-MIST法とは何か
M-MIST法(Modified Minimally Invasive Surgical Technique、改良型低侵襲外科手術法)は、2009年にイタリアの Pierpaolo Cortellini と Maurizio Tonetti らによって提唱された歯周組織再生療法の術式です。
従来の歯周外科では、頬側(外側)と舌側(内側)両方の歯肉を大きく剥離し、歯間部の歯肉にも切開を入れることが一般的でした。これは術野を広く確保するためでしたが、術後の歯肉退縮や歯間乳頭の喪失というデメリットがありました。
M-MIST法はこの課題に対するアプローチで、頬側のみに小さな切開を行い、歯間部と舌側の組織を温存するという、シンプルかつ革新的な発想に基づいています。
従来の歯周外科との違い
| 項目 | 従来の歯周外科 | M-MIST法 |
|---|---|---|
| 切開範囲 | 頬側+舌側+歯間部 | 頬側のみ(最小限) |
| 歯肉剥離 | 大きく剥離(フルフラップ) | 最小限の剥離 |
| 歯間乳頭 | 切開・剥離する | 温存する |
| 術後の腫れ・痛み | 比較的多い | 少ない |
| 術後の歯肉退縮 | 起こりやすい | 最小化できる |
| 治癒速度 | 標準的 | 早い |
| 適応 | 幅広い | 歯間部の限局的な垂直性骨欠損 |
「最小限の介入で最大の結果を」──これがM-MIST法の核心です。患者さんへの侵襲を最小化することで、術後の不快症状を抑え、長期的な歯肉の安定を実現します。
M-MIST法の適応症例
M-MIST法は万能ではなく、特定の症例条件で最大の効果を発揮します。
適応となる症例
- 歯間部の限局的な垂直性骨欠損(特に3壁性骨欠損)
- 歯間乳頭が比較的温存されている
- 骨欠損が深く、狭い形態
- 審美領域(前歯部・小臼歯部)で歯肉退縮を絶対に避けたいケース
M-MIST法が向かない症例
- 水平性骨欠損(M-MIST法以外の選択肢を検討)
- 複数歯にまたがる広範な骨欠損(フルフラップが必要)
- 1壁性・2壁性の複雑な骨欠損(材料の固定に追加の工夫が必要)
3つの臨床メリット
1. 術後の腫れ・痛みが少ない
切開範囲が最小限のため、術後の侵襲反応が大幅に軽減されます。複数の論文で、従来法に比べて術後疼痛・腫脹が有意に少ないことが報告されています。
2. 歯肉退縮を最小化できる
歯間乳頭と舌側組織を温存することで、術後の歯肉ラインの変化が最小化されます。審美領域での歯周組織再生療法では、これは決定的なメリットです。
3. 治癒が早い
軟組織の侵襲が少ないため、創傷治癒が早く進みます。患者さんは早期に日常生活へ復帰でき、メインテナンスへの移行もスムーズです。
歯周病で歯を抜きたくない方へ
札幌・大通駅直結のユアーズデンタルクリニックで、湯口院長によるご相談を承っています。CT検査で M-MIST法の適応をご診断します。
相談する術式の流れ
STEP 1:局所麻酔
処置部位の局所麻酔を行います。M-MIST法は侵襲が小さいため、麻酔量も少なく済みます。
STEP 2:歯間部上方への小切開
頬側の歯間部上方に、約2〜3歯間にわたる小さな切開を入れます。これがM-MIST法の特徴的な「切開ライン」です。
STEP 3:頬側のみの最小限剥離
頬側の歯肉を、骨欠損部位が見える範囲だけ最小限に剥離します。歯間部と舌側の組織は触らずに温存します。
STEP 4:肉芽組織の除去・根面処理
骨欠損内の感染肉芽組織を丁寧に除去し、歯根面を清掃・滑沢化します。再生材料が定着しやすい環境を作ります。
STEP 5:再生材料の応用
エナメルマトリックスデリバティブ(Emdogain)を歯根面に塗布。症例によっては骨補填材を併用します。これにより、歯周組織の本来の発生過程を模倣した再生が促されます。
STEP 6:精密な縫合
切開部を精密に縫合し、創傷治癒の最適化を図ります。マイクロサージェリーの縫合糸(6-0、7-0等の極細糸)を使用することで、軟組織への負担を最小化します。
STEP 7:術後管理・経過観察
術後1週間で抜糸。1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月・12ヶ月で経過観察を行い、骨再生の評価とメインテナンスを継続します。
湯口の『日本歯科評論』執筆について
日本歯科評論 2021年8月号 特集
「動画とイラストでマスター いま知っておきたい話題のテクニック5選【天然歯編】」
執筆部:M-MIST法による歯周組織再生療法
コーディネーター:船登彰芳(湯口の師匠・5-D Japan ファウンダー)
出版:ヒョーロン・パブリッシャーズ
湯口が「M-MIST法による歯周組織再生療法」を執筆したのは、5-D Japan のコーディネートによる特集の一環です。5-D Japan メンバーとして、業界の第一線で活躍する歯科医師らとともに、「動画とイラストで歯科医師がマスターする」ことを目的とした実践的な解説記事を担当しました。
この執筆実績は、湯口が単なる臨床家ではなく、業界に対して教育的な発信を行う立場にあることを示しています。歯科医療において「教える側」に立つことは、その術式に対する深い理解と臨床経験の証です。
札幌のクリニックで、業界が認める術式の解説者本人による治療を受けられる──これがユアーズデンタルクリニックの提供する価値の一つです。
よくあるご質問
歯を残すために、
まずは話してみませんか。
札幌・大通駅直結のユアーズデンタルクリニックで、湯口院長によるご相談を承っています。現在のお口の状態、これまでの治療歴、これからの不安、何でもお聞かせください。
