天然歯とインプラントは共存できる?両方を長持ちさせる考え方
— Implant & Natural Teeth / 共存

天然歯とインプラントは
共存できる?
両方を長持ちさせる考え方。

— Published 2026.06.26
湯口晃弘

— この記事の監修者

湯口 晃弘(ゆぐち あきひろ)/ 医療法人令徳会 理事長・ユアーズデンタルクリニック院長

日本歯周病学会認定医、EAO(European Association for Osseointegration)認定医、5-D Japan ペリオインプラントコース インストラクター。2026年5月、米国歯周病学会の公式誌 Clinical Advances in Periodontics に筆頭著者として症例報告を発表(DOI: 10.1002/cap.70076)。

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2022年9月、湯口は米国カリフォルニアで開催された「OSCSC(オー・エス・シー・エス・シー)」というインプラント治療の専門勉強会で、英語講演を行いました。
演題は「Coexistence of Natural Teeth and Implants(コエグジステンス・オブ・ナチュラル・ティース・アンド・インプランツ)」── 日本語では「天然歯とインプラントの共存」という意味です。本記事では、この講演が患者さんにとってどのような意味を持つのか、わかりやすく解説します。
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湯口院長による動画解説(約23分):「抜歯になる歯ってどのような歯?抜歯と非抜歯の基準」── 湯口院長(米国カリフォルニアOSCSC英語講演 演者)による解説動画。「天然歯とインプラントの共存」を実現するための判断基準――抜歯すべき歯と残せる歯――を、論文と症例で23分にわたって解説しています。
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OSCSC(オー・エス・シー・エス・シー)とは何か

OSCSC は、米国カリフォルニアのインプラント治療を専門とする歯科医師のスタディグループ(学術勉強会)です。「歯科医療しかいりょうのオリンピック」とも言われる国際的な学術活動の場の1つ。

世界中から招待された歯科医師が、最新のインプラント治療技術や臨床症例を英語で発表します。米国の歯科医師にとって、最新のインプラント・歯周外科ししゅうげか技術を学ぶ重要な場となっています。

たとえ話:OSCSC は、歯科インプラント業界における「世界選抜の勉強会」のような存在。世界各国から、技術と経験のある歯科医師だけが招かれ、最新の知見を共有する場です。

なぜ湯口がカリフォルニアで講演できたのか

米国のスタディグループから招待されるためには、国際的に評価される臨床実績が必要です。湯口の場合、以下のルートで講演権を獲得しました。

1. 2020年2月 OJ ミッドウィンターミーティング 上位入賞

湯口は2020年2月、OJ(オー・ジェイ、Osseointegration Study Club of Japan、日本オッセオインテグレーション・スタディクラブ)のミッドウィンターミーティング(年次大会)で上位入賞しました。

OJ は、日本のインプラント治療を専門とするスタディグループの中で主要な組織の1つ。船登彰芳先生(湯口の師)も元会長を務めた組織です。

2. OJ-OSCSC の連携プログラムによる講演権獲得

OJ と米国カリフォルニアの OSCSC は、国際的な学術連携を持っており、OJ の年次大会で上位入賞した歯科医師には、OSCSC での講演権が与えられるプログラムがあります。

湯口は2020年2月の入賞により、2022年9月の OSCSC 講演権を獲得しました。

3. 2年間の準備期間

講演権獲得から実際の講演まで、約2年間。この期間で、講演内容の準備、症例の追加、英語でのプレゼンテーション準備を進めました。

演題「天然歯とインプラントの共存」の意味

— 2022.09 / CALIFORNIA, USA
Coexistence of Natural Teeth and Implants
「天然歯とインプラントの共存」
湯口 晃弘 / 米国 OSCSC 招待講演

口腔内には「自分の歯(天然歯)」と「人工歯(インプラント)」が共存することが多くなった現代の歯科医療において、両者をどのように調和させ、長期的に維持するかを論じた講演

なぜこのテーマが重要か

従来の歯科治療では、「歯を残すか、抜いてインプラントにするか」という二択で考えられがちでした。しかし、現代の口腔内では、残った天然歯とインプラントが同時に存在する状況が増えています。

イメージ:口の中を「畑」とすると、自分の歯(天然歯)は「自生の野菜」、インプラントは「植えた苗」のような関係。両方を同じ畑でどう育てて、どう長持ちさせるかを考えるのが「共存」のテーマです。

湯口の講演は、この「共存」の難しさと、長期予後を最大化するための臨床判断のポイントを、症例を通じて世界の歯科医師に共有するものでした。

講演で伝えたこと — 3つの臨床ポイント

湯口がOSCSCで伝えた、「天然歯とインプラントの共存」における3つの臨床ポイントをご紹介します。

1. 残せる天然歯は、徹底的に残す

インプラントは強力な選択肢ですが、長期予後(10〜20年)では天然歯の方が優れることが多くの研究で示されています。残せる歯は歯周組織再生療法ししゅうそしきさいせいりょうほう歯周外科ししゅうげか根管治療こんかんちりょうなどで徹底的に残すべき、という主張。

2. インプラントは「本当に必要な時」に最善の形で

抜歯が避けられない場合は、抜歯と同時にインプラント治療を最善の形で計画する。抜歯後の骨吸収こつきゅうしゅうを最小化するため、抜歯即時埋入ばっしそくじまいにゅう骨補填材こつほてんざいを用いたソケットプリザベーション(抜歯温存術)を積極的に検討。

3. 天然歯とインプラントの両方を、長期メインテナンスで守る

治療後の長期メインテナンスが、天然歯とインプラント両方の予後を決定する最重要要素。歯周病ししゅうびょうインプラント周囲炎(インプラント周りの炎症)は、ほぼ同じ細菌が原因で起こるため、統合的なメインテナンス計画が必要。

POINT: これらは、まさに現在の「Save Your Teeth.」サイトで湯口が訴える「歯を残す医療」哲学の国際版でした。米国の歯科医師にも、湯口の臨床姿勢の核が伝わった講演となりました。

英語で歯科医療を講演する難しさ

「英語で講演」と聞くと簡単に思えるかもしれませんが、歯科医療の英語講演は極めて難易度が高いのが現実です。

3つの難しさ

  • 専門用語の英語化 ── 歯科の専門用語(解剖学・組織学・薬剤名・術式名)をすべて英語で正確に使い分ける必要がある
  • 米国の歯科医師との対話 ── 講演後の質疑応答では、米国のベテラン歯科医師から専門的な質問が英語で飛んでくる。即座に英語で論理的に応答する必要がある
  • 米国独自の歯科文化への理解 ── 米国と日本では、歯科保険制度・治療文化・症例傾向が異なる。米国の聴衆に向けた説明の調整が必要

湯口がOSCSCで講演できたのは、船登先生(5年間の師事)と、Otto Zuhr(オットー・ツーア)らの国際的な歯科ネットワークへのアクセスがあったからこそ。長年の研鑽の積み重ねによる成果です。

患者さんにとっての意味

湯口の OSCSC 英語講演は、患者さんの治療にとって、以下のような意味を持ちます。

1. 国際水準の判断ができる歯科医師

米国の歯科医師から評価される臨床判断りんしょうはんだん症例しょうれいを持っているということは、国際的な学術基準に沿った治療を行えるということ。

2. 米国・欧州の学術交流で得た知見を札幌で

米国・欧州との学術交流を持つことで、米国・欧州の学会で共有された治療技術と知見を、札幌の診療室で患者さんに還元できます。

3. 「歯を残す」哲学は世界に通用する

OSCSC での講演内容が、現在の「Save Your Teeth.」哲学そのものでした。湯口の臨床姿勢が、米国の歯科医師にも共有される考え方であることを示しています。

札幌に住みながら、国際学会で症例を発表している歯科医師の治療を受けられる──それが、ユアーズデンタルクリニックの特徴の1つです。

よくあるご質問

OSCSC(オー・エス・シー・エス・シー)とは何ですか?
OSCSC は、米国カリフォルニアのインプラント治療を専門とする歯科医師のスタディグループ(学術勉強会)です。世界中から招待された歯科医師が、最新のインプラント治療技術や症例を英語で発表します。湯口は2022年9月、このOSCSCで「Coexistence of Natural Teeth and Implants(天然歯とインプラントの共存)」を講演しました。
なぜ札幌の歯科医師が米国で講演できるのですか?
湯口は2020年2月のOJ(オー・ジェイ、Osseointegration Study Club of Japan、日本オッセオインテグレーション・スタディクラブ)ミッドウィンターミーティングで上位入賞し、その実績によりカリフォルニアOSCSCへの講演権を獲得しました。日本のインプラント・スタディグループのトップに位置する評価を得たことで、米国での英語講演の機会につながりました。
演題の「天然歯とインプラントの共存」とはどういう意味ですか?
歯を失った場合、インプラントは強力な選択肢ですが、まだ残っている自分の歯(天然歯)をどう扱うかも重要です。湯口の講演は、「インプラントを入れた口の中で、残った天然歯をどう長持ちさせるか」「保存的治療とインプラント治療をどう組み合わせるか」というテーマでした。これは「歯を残す医療」哲学の国際版です。
他にも海外講演の予定はありますか?
湯口は2026年5月、Otto Zuhr(オットー・ツーア、ドイツ・ミュンヘン)と国際共著論文を発表しています。世界の歯科医療ネットワークとの交流を継続的に行っており、今後も国際的な学術活動を予定しています。詳しくは 院長プロフィール をご覧ください。
— Consultation

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