— Gum Recession FAQ / 歯周歯ぐきが下がってきた。
よくあるご質問。
— Published 2026.07.26 / Updated 2026.08.17
歯ぐき下がりには、2種類ある
歯ぐき下がり(歯肉退縮)の治療を考えるうえで、まず大切なのが「2種類ある」ことです。下の違いで治療法が変わります。
歯周病ではない歯ぐき下がり
歯ブラシ圧・矯正・歯ぎしり等が原因。歯周形成外科(根面被覆)で改善
歯周病を併発した歯ぐき下がり
歯周組織再生療法が必要になる
▲ まず原因を見極めることが、治療の出発点です
歯周病ではないタイプは、歯ぐきの位置を戻す「見た目と守り」の治療が中心になります。一方、歯周病を併発しているタイプは、先に歯周病の治療で炎症を止めることが前提で、骨まで失われている場合は歯周組織再生療法の適応を検討します。どちらのタイプかは自己判断が難しいため、歯周組織検査とレントゲンでの診断が必要です。
目次
読む前に押さえてほしい、3つの前提
FAQに入る前に、多くのご質問に共通する前提を3つだけお伝えします。
- 歯ぐきは自然には戻らない:歯ぐき下がりは待っていても回復しません。ただし、すべてが「今すぐ手術」ではなく、経過観察が合理的なケースもあります
- 原因を止めないと繰り返す:強い歯ブラシ圧や歯ぎしりなど、下がった原因が残ったままだと、手術をしても後戻りのリスクが上がります
- 体質の影響が大きい:もともと歯ぐきや骨が薄いシンバイオタイプの方は下がりやすく、予防の観点も含めた計画が大切です
このあたりの仕組みは、本編の歯ぐき下がりの解説記事でイラストとともに詳しく書いています。
よくある誤解:「歯みがきを頑張れば歯ぐきは戻る」「歯ぐきマッサージで回復する」という情報を見かけますが、一度下がった歯ぐきがセルフケアで元の位置に戻ることは期待できません。むしろ強く磨きすぎることが原因になっている方も多く、頑張る方向を間違えると悪化につながります。正しい圧での歯みがきは「これ以上下げない」ための守りであり、「戻す」には外科的な治療が必要、と分けて考えるのが正確です。
手術をおすすめしないケースもあります
誠実にお伝えすると、歯ぐき下がりのすべてに手術が必要なわけではありません。見た目もしみる症状も気にならず、清掃が保てているごく軽度の下がりであれば、磨き方の改善と定期チェックで経過を見る判断も十分に合理的です。また、喫煙を続けている場合や、歯周病の炎症が落ち着いていない段階では、手術をしても結果が安定しにくいため、先に整えるべき条件があります。
逆に、下がりが進行している・歯根がすり減ってきている・矯正を予定しているといった場合は、早めの相談が選択肢を広げます。手術をする・しないの判断も含めて相談したい方は、セカンドオピニオンとしてのご相談も受け付けています。
受診から治療までの流れ
「相談したらすぐ手術」ではありません。一般的には次の順で進みます。
- カウンセリング・検査:気になっている部位とご希望を伺い、歯周組織検査とレントゲンで歯ぐきと骨の状態を確認します
- 診断とタイプ分け:歯周病の有無、下がりの原因、骨の残り方を診断し、「どこまで戻せるか」の到達点をご説明します
- 原因への対策:歯ブラシ圧の改善や歯ぎしり対策など、下がった原因を先に止めます。歯周病がある場合は歯周治療が先行します
- 手術(必要な場合のみ):移植を含む歯周形成外科を行い、下がった部分の回復を図ります
- メンテナンス:治癒後は定期チェックで、再発の兆候がないかを見守ります
治療後、歯ぐきを保つためにできること
手術で回復した歯ぐきを長持ちさせる主役は、日々のセルフケアです。柔らかめの歯ブラシで、軽い力で丁寧に磨くこと。歯ぎしり・食いしばりがある方は、就寝時のナイトガードで歯と歯ぐきへの負担を減らすこと。そして、歯ぐきの変化は自分では気づきにくいため、定期メンテナンスで小さな変化のうちに手を打つことです。手術をしない選択をした方にとっても、この3つは「これ以上下げない」ための基本になります。
— CONSULTATION
「私の歯ぐき、治せますか?」にお答えします
歯ぐき下がりの原因と、どこまで戻せるかは検査でわかります。手術をすすめない、という答えになることもあります。まずは状態の診断から。
ユアーズデンタルクリニックへ
よくあるご質問
歯ぐき下がりの原因は何ですか?
加齢で少しずつ下がるほか、歯ブラシ圧が強い・矯正で無理に歯を動かした・歯ぎしりや食いしばりなどで下がることがあります。もともと歯ぐきや骨が薄い体質(
シンバイオタイプ)の方は、同じ刺激でも下がりやすい傾向があります。また、歯周病で骨が失われた結果として下がるケースもあります。原因によって治療法が変わるため、まず原因の見極めが出発点です。一度下がると自然には戻りません。
歯ぐき下がりは病気ですか?
病気のときとそうでないときがあります。多くは病気ではない歯ぐき下がりで、「見た目が気になる」「しみる」などの希望があるときに治療します。一方、歯周病を併発している歯ぐき下がりは病気としての治療が必要で、放置すると骨の吸収が進みます。また高齢になると、露出した歯根がむし歯(根面むし歯)になりやすい点には注意が必要です。どちらのタイプかは歯周組織検査でわかります。
歯ぐき下がりは治せますか?
治せるケースが多くあります。歯周病でない場合は歯周形成外科(根面被覆)で下がった歯ぐきを回復させ、歯周病を併発している場合は
歯周組織再生療法を行います。ただし、歯と歯の間の骨まで失われているケースなど、完全な回復が難しい状態もあります。どこまで戻せるかは骨の残り方で決まるため、検査のうえで到達点を正直にご説明します。
手術ではどんなことをしますか?
多くの場合、歯ぐきの移植をします。上あごの裏側からご自身の歯ぐきの一部を採取し、下がった部分に貼って縫います。自分の歯ぐきなので拒絶反応がなく、採取した部分も元通りに治癒します。見た目を重視する部位では、表面の層を含まない結合組織だけを移植して自然な仕上がりを図る方法(CTG)が選ばれることもあります。縫合は細かく繊細な作業のため、拡大視野での丁寧な処置が仕上がりを左右します。
手術は痛いですか?時間はどのくらいかかりますか?
手術は麻酔をして行うため、術中の痛みは抑えられます。術後は移植部位よりも、歯ぐきを採取した上あご側に痛みが出やすい傾向がありますが、お薬と保護用のプレートで管理します。手術時間や通院回数は範囲によって変わるため、治療計画の段階でご説明します。術後しばらくは手術部位を触らない磨き方など、過ごし方の注意点があります。
費用はどのくらいかかりますか?
治療する範囲・本数・術式により異なります。歯ぐき下がりの手術(歯周形成外科)は自由診療となることが一般的です。検査で状態を確認したうえで、治療内容ごとの費用の目安と選択肢をカウンセリングでご説明しますので、金額を確認してから治療を受けるかどうかを決めていただけます。
そのままにしておくとどうなりますか?
歯が長く見えて見た目が気になったり、知覚過敏が起きたりします。露出した歯根はエナメル質に覆われていないため、すり減りやすく、高齢になると根面むし歯のリスクも高まります。また、歯ぐきが下がった部分は歯みがきの難易度が上がるため、汚れがたまって炎症を繰り返すこともあります。進行の速さは原因によって違うため、急いで手術すべきか経過観察でよいかは診査のうえで判断します。
普通の歯医者さんでもできますか?
歯ぐきの再生手術を行っている歯科医院は多くありません。歯周形成外科は特殊な手術なので、
歯周病治療に精通した歯科医院に相談することをおすすめします。「その部位の手術に慣れているか」「術式の選択肢を複数持っているか」「到達点と限界を説明してくれるか」が医院選びの目安になります。
矯正後でも治療できますか?
可能です。矯正後に下がった場合も、矯正前に重度の下がりがあれば矯正前に手術することもできます。マウスピース矯正後に下がる方もいるため、矯正医とも相談しましょう。矯正と歯周形成外科の順番は歯ぐきと骨の状態で変わるため、両方を見渡せる立場での診断が大切です。
歯ぐきの隙間(ブラックトライアングル)も手術で治りますか?
手術しても後戻りすることはありますか?
後戻りする場合もあります。治癒の仕方(付着様式)によって安定性が変わるため、診断と術式の選択が重要です。また、強い歯ブラシ圧や歯ぎしりといった元の原因が残ったままだと、再び下がるリスクが上がります。手術と合わせて、磨き方の改善やナイトガードなど原因への対策を行うことが、長持ちの条件になります。
タバコを吸っていても手術できますか?
喫煙は歯ぐきの血流を悪くし、移植した組織の定着や治癒に悪影響を及ぼすことが知られています。手術の結果を大きく左右するため、術前からの禁煙をお願いすることが一般的です。禁煙が難しい場合は、そのリスクを含めて治療方針をご相談します。
しみる症状(知覚過敏)は手術で治りますか?
露出した歯根が歯ぐきで覆われることで、しみる症状の改善が期待できる場合があります。ただし、しみる原因が歯ぐき下がり以外(むし歯・歯のすり減り・噛み合わせなど)にあることもあるため、手術の前に原因の診断が必要です。軽度であれば、しみ止めのお薬や歯みがき剤で様子を見る選択肢もあります。