自家歯牙移植の保険算定は年1万367回|NDBオープンデータ2023年度の分析

— この記事の監修者
湯口 晃弘(ゆぐち あきひろ)/ 医療法人令徳会 理事長・ユアーズデンタルクリニック院長
日本歯周病学会認定医、EAO(European Association for Osseointegration)認定医、5-D Japan ペリオインプラントコース インストラクター。2026年5月、米国歯周病学会の公式誌 Clinical Advances in Periodontics に筆頭著者として症例報告を発表(DOI: 10.1002/cap.70076)。
プロフィール詳細を読む →自分の歯を移す「歯の移植手術」とは
かみ合わせに使われていない親知らずなどを、保存が難しく抜いた歯の跡に移す治療を歯の移植手術(自家歯牙移植)といいます。移すのは自分の歯で、他の方の歯を使うことはありません。
歯を失った場所をどうするかというご相談は多くありますが、この方法があること自体があまり知られていません。実際にどれくらい行われているのかを、保険請求のデータで確かめました。
2023年度に何回行われたか

- 歯の移植手術(自家歯牙移植):全国 1万367回/北海道 807回
- 歯の再植術:全国 1万7,549回/北海道 780回
- 歯の再植による根尖病巣の治療:全国 2,557回/北海道 261回
いずれも外来で算定された回数です。入院では別に集計されており、歯の移植手術が446回、歯の再植術が163回でした。
「移植」と「再植」は別の治療
名前が似ていますが、内容が異なります。
- 歯の移植手術:別の場所にある自分の歯を、抜歯したところに移す
- 歯の再植術:外傷で抜けた歯を、元の位置に戻す
- 歯の再植による根尖病巣の治療:根の先に病巣がある歯を一度抜き、処置をしてから元に戻す
3つ目は、歯の内部からの治療や歯根端切除が難しい場合に選ばれることがある方法で、診療報酬上も別の項目として集計されています。
保険で受けられるのはどのような場合か
歯の移植手術を保険診療として算定できるのは、同じ方から抜いた埋伏歯または親知らずを、保存が難しく抜いた歯の跡に移す場合とされています。
そのうえで、移す歯の根の形、周りの組織の状態、移す先の骨の量などによって適応が決まります。すべての方に行える治療ではありません。どの方法が向いているかは、画像検査などで歯と骨の状態を確かめたうえで判断します。
歯を残せるかどうかの考え方は抜くしかないと言われた歯を残す方法、インプラントとの比べ方は本当にインプラントが必要?でも扱っています。
この数字が示していること、示していないこと

算定回数は、手術を受けた人数ではありません。同じ方が複数回受けた場合は、その回数が数えられます。
また、保険診療として算定されたものだけが対象です。自由診療として行われた移植は、このデータには含まれません。ここに出ている回数が、日本で行われた移植のすべてではないということです。
NDBオープンデータの集計表は、集計単位が10未満の場合はハイフンで表示される決まりになっています。都道府県別の値には、この扱いを受けているものがあります。
同じNDBオープンデータを使った分析は歯周病の保険請求件数は虫歯より約8,400万件多いでも公開しています。
出典
- 厚生労働省「第10回NDBオープンデータ」(2023年度)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000177221_00016.html - 国立保健医療科学院「歯っとサイト」NDBオープンデータ
https://www.niph.go.jp/soshiki/koku/oralhealth/data8.html
※全国値は各項目の総計の値を用い、47都道府県の値を合算して一致することを確認しています。外来と入院は別に集計されているため、本ページでは外来分を対象としました。分析日:2026年9月29日。本ページの数値と図は、厚生労働省「第10回NDBオープンデータ」を医療法人令徳会 ユアーズデンタルクリニックが加工して作成したものです。
よくあるご質問
まずは、お話をお聞かせください。
歯を失った場所をどうするかは、歯と骨の状態によって選べる方法が変わります。札幌・大通駅直結のユアーズデンタルクリニックでご相談を承っています。
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